ベトナム人採用を成功させる方法

少子高齢化による人口減社会が到来し、ますます人手不足か深刻化していく中で、どの業界や企業でも悲鳴に近い採用難の声を多く聞くようになりました。いまや、企業にとっての最大の経営課題は人材の確保と言っても過言ではありません。

その取るべき対策として、AIやロボットなどイノベーションによる省人化が急速に進んでいますが、併せて目を向けるべき点として、女性活躍推進やシニア層の活用、そしてさらには海外人材の活用、とくに市場としても労働力としても魅力的なアジア圏へ目を向ける企業が増えてきています。

こちらの記事では、アジア圏の海外人材の中でも、技能実習生や留学生の大幅な増加により、いまや日本在留外国人数第3位のベトナム人の採用について、事前に知っておいて頂きたい事項や失敗しない採用方法を詳しくご説明いたします。

<目 次>
1.海外人材の採用がうまくいかない理由
 1-1.能力が低いと決めつけている
 1-2.安価な賃金で雇用しようと考えている
 1-3.どうせ日本に定着しないと勘違いしている
2.海外人材を採用・定着させる4つのステップ
 2-1.どういった人材を採用したいのか明確化する
 2-2.海外人材に関する情報収集や採用活動方法を検討する
 2-3.在留資格の手続きを行う
 2-4.定着と育成に向けての取り組みを行う
3.海外人材の採用は人手不足解消だけでなく企業を進化させる


 

1.海外人材の採用がうまくいかない理由

1-1:能力が低いと決めつけている

ベトナムの教育水準は、発展途上国の中では極めて教育が行き届いているため、東南アジアの各国と比べ非常に高く、また近年では高校や大学への進学率も上昇しています。

下記は一つの目安ですが、ベトナムの教育水準は、世界的に見ても高いことがわかります。

就学率 98.6%(小学校)、90.4%(中学校)、42.8%(高校)、28.26%(大学)
識字率 94.5%

(外務省公表データ(平成29年12月更新)より)

ベトナム政府としても、2020年までの工業国入りを目標に掲げて、今後も教育に力を入れていきたいとしていますし、子供により良い教育を受けさせたいと思っている親も多いようで、収入における教育費にかける割合も非常に高いことも特徴的です。

また、OECD(経済協力開発機構)が実施するPISAテスト(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度調査について、同調査は生徒が持っている知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価するもので、「科学的リテラシー」、「読解力」、「数学的リテラシー」の3分野について2000年から3年ごとに調査を実施しています。

同調査の2015年の結果によると、ベトナムは、「科学的リテラシー」で8位(平均525点)、「読解力」で30位(同487点)、「数学的リテラシー」で21位(同495点)。東南アジアの中で唯一平均値および平均値を超え、また同時に科学的リテラシーにおいてトップ10入りをしています。
(参考/同調査2015年日本の結果)「科学的リテラシー」2位(平均538点)、「読解力」8位(同516点)、「数学的リテラシー」5位(同532点)。)

総じて言えば、ベトナムは教育に非常に関心の強い国でして、将来的に世界で活躍できる資質を持ったハイレベルな若者がたくさんいるのです。

 

1-2 安価な賃金で雇用しようと考えている

中国国内での人件費高騰を理由に、日本企業はアジアへの進出先として労働コストを低く抑えられるベトナムやミャンマーを有力視するようになりました。昨今では、ベトナムでも労働コストは上昇しつつありますが、それでも、通常ベトナムでの大卒初任給は3~5万円(月給)といわれているため、一般的にみて安い労働コストであると言えます。

そういった背景から、日本国内での勤務を想定してベトナム人を雇用する際に、日本人の賃金規定とは異なり、低賃金にて採用しようと検討している場合には考え直したほうがよいです。

海外人材が日本国内で働く場合、国籍に関わらず全ての労働者に対して労働保護法規が適用されます。外国人に最低賃金が適用されるのはもちろんのこと、社会保険や健康保険、厚生年金や国民保険などの社会保障全てが日本人と同様に享受する資格を保持しています。
「外国人だから」という理由で国のサービスが適用されないということは一切ありません。雇用形態に関わらず、同等なサービスを受けられる権利があるのです。

それでも、海外人材はなぜ低賃金で働かされるイメージが強いのでしょうか。それは外国人技能実習生という日本独特な制度が、私たち日本人の外国人労働者に対する負のイメージを作り上げていることが要因としてあるのではないでしょうか。

そもそも、ベトナムの大卒初任給相場である月給3~5万円の賃金で、日本での生活が可能かどうか考えれば理解頂けるかと思います。国籍によって給与額を変えるのではなく、会社の規定に沿った給与を提示することが原則です。

社員と同様に会社の一チームメンバーとして受け入れ、日本でのキャリアをしっかりと構築できるよう企業がサポートをしてあげることが重要です。

 

1-3 どうせ日本に定着しないと勘違いしている

一般的に、ベトナム人は真面目で勤勉、労働生産性が高いとよく言われております。会社選びに関しても、真面目なベトナム人は同じ会社に貢献し続けてくれると思いたいところですが、実際には離職率は低くなく、以前の人材会社の調査データによると1年間のベトナムの転職率は19.4%でした。

ただし、日本の大学卒新卒入社の離職率を見ても、1年目11.9%、2年目10.4%、3年目31.8%と、3年目には3人に1人の若者が仕事に見切りをつけて離職してしまう時代なのですから、ベトナム人だけが就職企業に定着しづらい訳ではありません。
要は、ベトナム人であれ日本人であれ、それぞれの仕事観を充分に理解した上で受け入れ体制を改善していく必要があります。

ベトナム人の仕事観としては、「給与」「仕事スキルの成長」に凄く貪欲です。給料は仕事を決める際の欠かせない要素でして、給料が自分の能力・経験に見合わないと考えると転職する動機へと繋がります。インフレが激しいベトナムでは生活費、家族のための費用、子供の養育費・医療費などの負担に見合った給与が必要だと考えることからもきています。

また、スキルを向上させたいという気持ちが強いのも特長の一つです。勤務後に、語学や専門知識習得の為に研修に参加したり、学校に通う人も多いです。逆に仕事がマンネリ化しスキル向上の機会が欠けてきたり、自身で新たなスキルを身につけると次の会社を探し出します。

では、ベトナム人に長期的に勤務してもらうための有効策は何なのでしょうか。

実は有効な策のひとつとして挙げられるのが、日本の若者では敬遠されている社員旅行や飲み会だったりします。社員旅行は非常に家族を大切にするベトナム人にとって家族的なイベントとして好まれる傾向にあります。

また、社員教育を充実させて知識習得の機会を提供したり、キャリアプランや育成方針の提示を行ったりすることも重要です。給与の優越や昇進に関しても、外国人の雇用をきっかけに改善を検討してみるのも良いかもしれません。

 


 

2.海外人材を採用・定着させる4つのステップ

2-1:どういった人材を採用したいのか明確化する

現地ベトナム人を採用しようと考えた場合、検討すべきポイントは大きく3つです。

1点目は、どんな人材を採用したいか、会社全体で認識合わせをして明確化すること。2点目は、業務内容や勤務地などキャリアプランのイメージを作成し、求めるスキルの順位付けを行うこと。3つ目は、その人材をどの様に効果的・効率的に採用できるか検討することです。

在留資格取得の上では、採用対象本人が従事する業務と専攻が一致する必要があります。人材を募集する段階で従事する業務をある程度絞り込んでおくことは、双方のミスマッチを減らすだけでなく、資格取得手続きを円滑に行う上でも重要になります。
また、高い日本語能力を求める場合は、母国在住のベトナム人の方より、留学生のほうが語学力だけでなく日本の商習慣を理解した方の採用が可能かと思います。

一方で、最近の傾向として、人材難と言われる機械・建築土木・IT系を中心とした理系人材を確保するためには、母国在住のベトナム人を採用するケースが増えています。直接現地にてリクルーティング活動をするため採用コストは若干高くなりますが、専門スキルを持った優秀なベトナム人の採用が可能になります。ただし、日本語能力は低いことが多いため、語学能力を求める場合には日本語研修の実施や、来日後の生活サポートへの配慮も必要になります。

なお、日本語能力の測定において多くの外国人の方が利用している試験の一つとして、日本語能力試験(JLPT)が挙げられます。この試験ではN1~N5の5段階のレベルが設けられています。

N1(難しい) N2 N3 N4 N5(易しい)
幅広い場面で使われる日本語を理解する事ができる。 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 基本的な日本語を理解することができる。 基本的な日本語をある程度理解することができる。

(日本語能力試験公式ウェブサイトより)

 

2-2:海外人材に関する情報収集や採用活動方法を検討する

海外でベトナム人の採用活動を実施する場合は、外国人材とのマッチングを実施している当社の様な人材紹介会社の活用や、外国人とのマッチングイベントへの参加などがあります。

それらを活用して情報を発信して、選考の過程でも日本語を前提として筆記試験を免除するなどの工夫も必要です。また、「話す」「聞く」の能力と「読む」「書く」の能力は別に判定し、読み書きの能力は入社後に育成する事も視野に入れて採用することも必要です。

また、既に外国人を雇用している場合は、ロールモデルを活用することで効果的な母集団の形成を行うことができます。

 

2-3:在留資格の手続きを行う

実際にベトナム人の採用が決定したら、入社までの間に法務省入管管理局から在留資格の認定をとるほかに、現地の日本大使館に査証(ビザ)を発行してもらう必要があります。

海外から呼び寄せる際には、手続きの遅れにより渡航予定日に間に合わなくなるなどを回避するためにも、手続きや必要な時間を理解した上で余裕を持ったスケジュールを立てることをお勧めします。

申請から入国までは1~3ヶ月の期間を要します。先ずは、該当するベトナム人材の専攻・経歴・業務内容が「技術・人文知識・国際業務」等で求められる条件に適合している事を入国管理局に証明してもらうため、「在留資格認定証明書交付申請書」を提出する必要があります。入管から在留資格認定証明書(COE)が送られてきたら、「条件に適合していること」の証明を受けたことになります。

しかし、これではまだ採用予定者は査証(ビザ)がないため日本に入国できません。在外公館で査証を取得するために、交付されたCOEを海外現地へ郵送する必要があります。

海外の採用予定者がCOEを入手したら、在外公館にビザの申請を実施します。ビザが下りたら来日する事が可能です。ただし、「ビザ発給=日本に入国できることの保証」ではないことに注意してください。来日時に上陸審査を受け許可が下りて初めて来日が可能となります。

 

2-4:定着と育成に向けての取り組みを行う

採用後には定着と育成について考える必要があります。社内の受け入れ体制の整備を進める上でも、採用の際と同様にベトナム人材に合わせた取り組みを検討することが重要です。

企業が行っているベトナム人材の定着を図る取り組みは、「体制整備」「異文化コミュニケーション」「キャリア」の3つに分けられ、以下の様な内容が考えられます。

体制整備 雇用契約:雇用契約書や就業規則の説明をしているか
在留資格:本人の在留資格更新/一時帰国手続きを支援しているか
生活面:健康保険・雇用保険・年金・扶養控除について説明をしたか
    住居の手配は滞りなく進んでいるか
異文化コミュニケーション 価値観:企業理念や組織文化について伝えているか
受入部署:配属先に対し、配属の趣旨や留意点を伝えているか
コミュニケーション:日本語やビジネスマナーについて指導・サポートしているか
キャリア 配属・異動:配属理由と役割を説明しているか
      異動の可能性について事前に説明しているか
評価・昇進:評価の項目を明示しているか
      評価結果をフィードバックしているか
      昇進や昇給の条件は明らかか
キャリア・組織目標:本人が希望するキャリアを把握しているか
          組織目標は一致しているか

 

また、ベトナムの文化の特性を把握する事で、文化の違いを原因としたすれ違いや衝突を防ぐ事が可能です。
(1)自分の常識の範囲で物事をとらえず
(2)相手の行動の背景にある文化的な価値観を理解し
(3)対話によって最適な環境を作っていく事
が重要です。

 


 

3.海外人材の採用は人手不足解消だけでなく企業を進化させる

日本の将来の人口構成や労働力人口の変化が引き金となって、今や多くの日本企業にとっての大きな課題は「ダイバーシティ&インクルージョン」と「生産性向上」です。ベトナム人をはじめ海外人材を採用するに至ったきっかけは、採用難からくる人手不足解消であったかもしれません。

しかしながら、海外人材の活用により、企業のダイバーシティ化や生産性向上を促進して、グローバル展開に成功したり、企業としての競争優位性に磨きがかかりのではないでしょうか。海外人材を採用することこそが、ダイバーシティ化であり、インクルージョンに直結します。さらには、生産性向上を阻害するムダが多い日本組織、素直に疑問を抱く外国人により改善点に気付かされることにも繋がります。

多くの企業は日本語能力の不足を理由に海外人材の採用を避けていますが、言葉は素養させあれば働くうちに必然的に上達しますし、日本人にはない感性や文化よりこれまでにない価値を企業にもたらすことが出来る貴重な人材です。

グローバル化やダイバーシティ化の実現に向けて、あれこれデメリットや不安ごとを探すよりも、先ずは1人でも外国人材の採用をした方が早いでしょう。
これを機会に、ぜひともベトナム人材の採用をご検討いただければと思います。

 

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