中小企業が中途採用を成功させる秘訣

「応募者がなかなか集まらない」
「求める人材の確保が難しい」
「ターゲットとしている人材以外からの応募が多い」
「採用前に応募者の実力を見抜けない」
「採用後の早期離職が多い」

中途採用を実施する中小企業の悩みは尽きず、20年以上もの間、広島県にて中途採用のご支援をさせて頂いている当社でも、経営者の方や採用担当者の方から上記の様な悩みを多くお聞きしてきました。

今回の記事では、少子高齢化による労働人口の減少や有効求人倍率の高止まりによる人材不足の問題など中途採用市場がますます激化する中、転職エージェントとして長きに亘り企業と人材のマッチングを図ってきた経験から、中途採用がうまくいかないよくある要因とその対策をご案内いたします。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

<目 次>
1.中途採用がうまくいかない要因とその対策
 1-1.求人内容が分かりづらい
 1-2.競合他社の分析ができていない
 1-3.選考スピードが遅い
 1-4.求職者の志向を見極められていない
 1-5.内定後や入社後のフォローが適切に行われていない
2.まとめ


 

1.中途採用がうまくいかない要因とその対策

1-1:求人内容が分かりづらい

求職者にとって、応募に至るまでの主な情報収集源は、企業ホームページであり求人票です。つまり、それらは会社選びの際に求職者に第一印象を与えてしまう大切なツールになります。
記入が不十分な履歴書や職務経歴書を見た時、採用側としてその応募者に「いい加減だな」「本気で応募するつもりがないのでは」「入社しても仕事で手抜きをしそう」という印象を持つかと思います。
これと同じように、求職者も企業が公表する求人票の記載が不十分であったり、わかりづらかったのなら、企業に対して同じような印象を持ってしまいます。

対策として…
言葉で伝える「定性情報」を重視して作成しましょう。
多くの求人票において、数字でわかる「定量情報」は記載されていますが、「定性情報」が不十分なケースを見受けます。

「定量情報」とは
設立年、資本金、従業員数、売上高、平均年齢、男女比、雇用形態、勤務地、勤務時間、年収、昇給・賞与実績、休日休暇、福利厚生、採用人数 など

「定性情報」とは
事業内容、経営者の思い、目指す会社像、経営戦略・経営計画、自社の強み・他社との差別化、仕事内容、仕事のやりがい、社風や職場環境、働き方や福利厚生等に関する独自の取り組み、先輩たちの仕事内容、今回の募集背景、入社後期待される役割、教育・キャリアプラン、求める人物像、選考の流れ、など

求職者が企業選びの際に重視するポイントとして、給与が高く休日休暇が充実していることももちろん大切な要件ですが、特に現職での不満や悩みを解決するための中途採用の場合では、定性情報から読み取れる「社会貢献度」や「仕事のやりがい」、「職場の雰囲気の良さ」を重要視する求職者も多く存在します。

数多とある求人票の中で、求職者の目に留まり他社との差別化を図るためにも、定性情報を充実させることで魅力ある求人票を作成しましょう。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

 

1-2 競合他社の分析ができていない

ある調査によれば、中途採用市場での求人倍率は2.13倍(2019年2月)、求人数は前年同月比103.7%となっています。また、2019年卒の新卒求人倍率は1.88倍でした。つまり中途採用市場は、採用難と言われている新卒採用より厳しい市場であり、少ない求職者を多くの企業で取り合っている状況なのです。
こうした市場環境の中で、競合他社を分析せずして多くの費用を投下しリクルーティングを実施しても、せっかく出会った有能な求職者を他社に取られてしまう可能性が高くなってしまいます。

対策として…
自社の採用競合を知り、競合他社について情報収集をしましょう。
採用活動での競合は、採用において自社の求める求職者を取り合う競合となる企業です。よって、事業競合だけにはとどまりません。自社が求める求職者に対して、「他にどのような企業を応募しているのか」と聞いた際に、よく名前が挙がる企業は採用競合と言えます。
選考の際に、求職者から応募してくれる理由や志望度が高いもしくは低い理由をヒアリングしてみたり、面接前アンケートを行ってその他の併願先企業を記入してもらったり、採用支援企業や当社の様な人材紹介会社から情報収集をしてみたりなどの方法から採用競合を知ることができます。

また、競合企業を知った後には、特に以下の2つに注目して比較検討してみると良いです。
・福利厚生と年収帯
・仕事の進め方や職場環境
これらは、求職者が入社を決定する際の理由となることが多いため、是非他社の上記情報を分析してみましょう。

これらを知ることで、中途採用市場での自社のポジション(給与水準、福利厚生の充実、働きがいなど)を把握できます。自社のポジションが把握できれば、自社が求める求職者が入社に悩んでいる際に、条件変更を検討できたり、採用活動を実施する前に懸念点を払拭するための検討や改善を行うことも可能になります。
そしてそれが、結果的に求職者から選ばれる魅力ある企業づくりが可能になり、既に所属している従業員満足度の向上にもつながります。

採用競合を分析し、魅力ある企業づくり、さらには従業員満足度向上にもつなげましょう。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

 

1-3 選考スピードが遅い

選考スピードが遅くなってしまう主な要因としては、
・応募から内定に至るまでのステップが多い
・ステップが少なくてもジャッジに時間がかかり次の選考までに時間が空いてしまっている
・そもそも採用に関わるマンパワーが足りない
などが考えられます。
このようにスピードが遅くなってしまうと、「結果連絡がないということは不合格ということ?」などと求職者に不安を抱かせてしまい、仮に求職者の志望度が高い企業であった場合には入社意欲の低下につながります。
さらに、その他併願先の企業がその求職者にアプローチをかける隙を与えたり、やっと結果出しを行った時には既に他社での入社意思を固めてしまい条件交渉も出来ない状況であったりします。

対策として…
選考スピードを早め、求職者をつなぎとめる採用フローにしましょう。
まずは、応募から内定までのステップを見直します。
・求職者に何度も足を運んでもらう回数を減らせないか
・遠隔の場合には、一次選考についてはSkypeやFacetimeなどWeb面接でも対応できないか
・平日の昼間だけでなく夕方や土曜日での選考ができないか
・一度に見極める選考内容に変更できないか
などを検討して頂く事をおすすめします。
また、ジャッジスピードに要因がある場合には、再度全面接官にて募集要件のすり合わせを行い、選考基準やジャッジフローを見直すと良いかと思います。
採用活動に割くマンパワー不足の場合には、人員を補充することは簡単ではありませんので、まずは作業工数削減のための採用フローの見直しを行い、それでも難しい様であれば、当社の様な人材紹介会社を活用したり、日本では従来より存在するリファラルによる採用を制度化し社員の協力を仰くなど、採用手法の検討も必要になるかと思います。

選考結果は、遅くとも7日以内に求職者へお伝えしましょう。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

 

1-4 求職者の志向を見極められていない

求職者の見極めるべき点は、経験やスキルだけではありません。一緒にチームとして働くうえでは、その人の性格や仕事の傾向に目を向ける必要があります。これを見落としてしまうと、入社しても周りと馴染めない、仕事の連携がうまくいかないということも起こりえます。

対策として…
自社で活躍できる求職者かどうかの見極めが可能な選考をしましょう。
これまで実施してきた選考フローは人柄が見えづらいものではなかったでしょうか。決まりきった質問による面接のみを実施している様であれば、採用プロセスの転換を図ることも必要です。
例えば、一次選考の際に職場見学を開催することも一つです。求職者にとっては実際に職場の雰囲気を感じることができますし、企業側としても堅苦しい中でのコミュニケーションでない分、求職者の人柄が伝わりやすい上に当社に抱く印象や感じ方などを想像しやすくなります。
また、人事部門や役員に限らず、その他社員との質疑応答を行う懇談会を実施することも求職者を見極める一つの手法です。実際に配属されるメンバーと馴染めるかどうか、仕事の連携が図れるかどうかの直接的な判断が下せる上に、社員を巻き込んだ選考手法を導入することで、懇談会に参加した社員に応募者の採用に同意したという責任感が芽生え、入社後の人間関係を深めるスピードが増すとともに、適切なフォローを行うことにもつながります。
人事部門や役員が実施するこれまでの面接でも、レジュメでは伝わらない人物像や本音を引き出す工夫が必要です。心構えとして、「面接」ではなく「面談」を実施しましょう。自社をアピールするだけでなく、お互いを理解する場として考えることが重要です。
また想定される質問は、求職者も準備をしてきますので本音が見えづらくなります。
「志望動機は?」と聞くのではなく、「当社を何で見つけたのか?」「その時の印象は?」「どういうところが良いと思ったのか?」など、趣旨は一緒であっても質問の仕方を変えてみることも良いです。「長所と短所は?」「入社後どんな仕事をしたいか?」「転勤の可否」などは、転職者が話す転職理由から探ってみることも大切です。

求職者の人柄が把握できる選考プロセスを導入し、自社で活躍できる求職者を見極めましょう。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

 

1-5 内定後や入社後のフォローが適切に行われていない

求職者へ内定を出したから一安心とはいかないのが中途採用市場での現状です。中途採用の場合には、現職との折り合いについても内定者は考えなければなりませんし、併願先企業の複数より内定を受ける場合には、企業の将来性や業務内容、年収や福利厚生などの待遇条件など様々な視点から、ときには家族も交えて検討し入社先企業を決定しなければなりません。企業側が内定出しをする際と同様、内定者も深く考え、そして悩んでいるのです。

対策として…
内定者目線での適切なフォローを心がけましょう。
内定を報告する際には、採用通知書を発行するだけにとどまらず、内定を出した理由や入社してほしい会社の意向をしっかりと伝えるようにしましょう。これにより、内定者にとっては自身の強みを深く知るきっかけになりますし、期待されていることへの満足感やモチベーションアップにもつながります。企業側としても、熱意を伝えることで、入社前辞退を防止できますし、内定者が抱いていた不安やマイナス要素を低減させることにもつながります。
求職者が内定を承諾した場合には、内定者目線で入社に向けてのスケジュールを調整する思いやりひとつで企業への印象も変わってきます。また、内定はもらえたものの、本当にこの企業が自分に合っているのかと不安に駆られるでしょうし、今の自分で本当にやっていけるだろうかと焦燥感に駆られてしまうこともあります。採用担当者は、内定者が不安なく入社してもらうためにも、まめに連絡を取り、内定者の不安や悩みを吐き出してもらえるような関係性を築くことが大切です。
また、はれて入社日を迎えた後も、適切なフォローの有無が内定者の今後の活躍に大きく影響してきます。中途採用なんだから経験やスキルも十分にあるし即戦力として直ぐにでも活躍してくれるだろう、という過度な期待は危険です。
初めての企業文化で慣れない人間関係の中でこれまでと違う業務に取り組むのですから、すぐにパフォーマンスを発揮できないのは当たり前です。
転職活動の際に求職者が重要視するポイントとして、若手社員であれば教育体制の確立やキャリアプランの設計、中堅社員であれば期待する役割の反面、入社後一定期間のフォロー体制を挙げていることからも分かるように、自社で活躍できると見極めた方でも最低3ヶ月程度のフォロー体制は必要です。定期的に、上司と内定者、人事責任者と内定者とのレビュー(面談)を行うなど、新しい環境で内定者が感じるストレスや不安を把握し解消する機会を持つようにしましょう。

入社後早期退職を引き起こさない様、内定後や入社後も適切なフォローを行い、入社前後でのギャップを埋める様心がけましょう。

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ


 

2.まとめ

これまで、経営者様や採用担当者の方からよく聞く中途採用がうまくいかない要因とその対策をご紹介してきました。ここで列挙した要因と自社での採用活動の現状を照らし合わせて是非一度採用活動内容を見直して頂ければと思います。
そして、それらと併せて、昨今の採用活動において重要なキーワードは「スピード感」と「丁寧さ」です。様々な選択肢があって自社だけが選択肢でない求職者に対しての採用活動において、意思決定の速さや連絡の速さ、誠意ある対応や緻密な連絡が、企業としての採用力をさらに向上させるポイントだと感じております。

今回の記事が、企業と求職者双方にとってベストなマッチングが実現できる一助となればと切に願います。

 

人材紹介についてのお問い合わせはこちらへどうぞ

関連記事

  1. 中途採用で成功する会社

  2. これからの採用面接の在り方 ~オンライン面接~

  3. UIJターン採用を成功させるためのノウハウ

  4. 2024年の広島での転職市場動向を解説

  5. 採用課題と解決策 ~悩み・その①「辞退が多い」編~

  6. 採用面接で人材を見極めるポイント