人材育成を成功させる方法

人材育成とは、その字のごとく「人を育てる」ことです。各企業では、社員を育てるために、さまざまな研修やOJTが行われています。
けれども、目に見えた効果が表れず、「今後、何をしていけばいいのだろう?」とお困りではありませんか?

そこで、この記事では、「人材育成とは何か」について改めて触れ、今、人材育成の担当者や、マネジメント層が意識しておくべき前提と課題、今後何をすればいいのかについて見ていきます。

<目 次>
1.人材育成がうまくいかない⇒原点に還ること
1-1.人材育成とは何か?
1-2.人材育成の大前提
1-3.人材育成の課題
2.人材育成の原理原則
2-1.社員が成長する3つのステージ
2-2.人材育成の3大手法
3.人材育成は組織開発の一丁目一番地


 

1.人材育成が上手くいかない⇒原点に還ること

1-1:人材育成とは何か?

人材育成とは『社内の重要な資源である人材を、社内外のあらゆるリソースを活用して育てること』適材適所で力を発揮し、利益の最大化につなげることがその目的です。

年功序列、終身雇用の社会構造が崩れ、人材の流動化が加速する現代は、少子高齢化により労働力確保が一段と厳しくなっています。
厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.52倍(2017年9月時点)と高水準が続き、企業にとって採用した人材のスキルを社内でいかに高めるかが、競争優位性を保つ大きな一因となっています。

効果的な人材活用ができない企業は、優秀な人材の流動化を止められず、採用力も下がっていきます。
人材育成はいまや経営戦略の一つであり、組織的に取り組むことが優先課題となっているのです。
【出典】厚生労働省「一般職業紹介状況(平成29年9月分)について」

 

1-2 人材育成の大前提

これらの目的を果たすために、どのような関わり方が必要なのでしょうか。人材育成に関わる上での大前提を挙げてみました。

■時間が掛かる
近年は変化のスピードが早いです。特に、技術的な進化は早い。それだけに、「できるだけ早く育てたい」というのが、教育担当者共通の悩みでしょう。
しかし、子どもが言葉を覚え、知識や道徳観を身に付けるには相応の時間が必要なように、人材育成は変化を感じられるまでに時間が掛かります。長期的な視点が必要です。

■人は皆違う
ビジネスシーンでは、ある一定の能力が求められます。例えば、近年なら少なくとも、パソコンを使う能力は一律に持っていてほしいところです。
一方、人は性格も、得意不得意もそれぞれ違います。「人は皆違うのだ」を前提にしておくと、臨機応変な対応がしやすくなるでしょう。

■会社によって異なる
人材育成には、「これをすれば必ず上手くいく」という正解がありません。ある組織ではうまく行った事例も、ある組織ではうまく行かないことがよく起こります。なぜなら、人や文化が違うからです。
実際、筆者も管理職時代、本からいろんな情報を得て、さまざまな手法を試してみましたが、「これはうまく行った!」という方法はほとんどありませんでした。
悩みながら試し、その繰り返しの中で、自分なりの「こうすれば上手くいく」を見つけていきました。
もちろん、基礎的なスキルやノウハウはあります。それでも、「自社にとってベストな方法は何か」を常々考え、いろんな手段を継続的に試していく必要があります。

 

1-3 人材育成の課題

このように、人材育成には時間や多様性が求められますが、近年は変化のスピードが早いため、次のような課題があるように感じます。

■長期的な視点の欠如
人材育成には時間が掛かりますが、研修やOJTに短期的な効果を期待する声が少なくありません。
実際、過去に、「コーチングを取り入れると売り上げがどのぐらい上がるのか」と聞かれたケースがあります。
「〇〇をすれば、□□になる」というほど、簡単ではありません。
人材育成は長期的な視点が必要です。

■人の存在が二の次になっている
よく、「人は財産である」という言葉から「人財」とも言われます。しかし、これはあくまでも概念上の話で、ブラック企業や無理な長時間労働を強いる企業があるように、人の存在が二の次になっている企業も多いようです。
P.F.ドラッカーは、著書、マネジメントで次のように言っています。
「人は、最大の資産である」
人があってこその企業です。この言葉を改めて心に刻みたいところです。

 


 

2.人材育成の原理原則

2-1:社員が成長する3つのステージ

人材育成には、大きく分けると3つのステージがあります。

■わかる
知識を身に付けた状態です。テキストを読んだり、研修を受けたりすることによって、基本的な理論が身に着きます。

■できる
実践により行動できるようになった状態です。水泳のテキストをどれだけ読んでも泳ぐことはできませんが、「実際にやってみる」ことで泳げるようになります。OJTなどを通じて身に付けることができます。

■うごける
自分の意思で判断し、自発的、主体的にうごけるようになった状態です。成功、失敗を含めて、さまざまな実務経験を積むことによって、自分の判断で行動できるようになります。
特に、このステージでは、技術的なこと以上に、ビジネスパーソンとして、先輩としてのあり方や価値観、大切なことに気付いたり、学んだりする時期でもあります。

まず、何から始めるか?

前述のように、人材育成の方法は、そこに集う人や組織の文化によってさまざまです。
そこで、まず、「理想はどのような状態で」「現状はどうなっているのか」「必要なことはなにか」を把握することから始めてはいかがでしょうか。
一人で考えてもいいでしょうし、管理職同士で話し合ってもいいでしょうし、コーチやファシリテーターなどの第三者を入れると、客観的な視点が加わり効果的です。
また、今、社員が抱えている課題認識や、思っていること、感じていることなど、赤裸々な声を集めることから始めるのも、現状把握に役立つでしょう。人は、感情で動くので、「育てたい相手が困っている状況や気持ちを知る」と、今、何が必要かが見えてくるかもしれません。

 

2-2:人材育成の3大手法

人材育成の実行には、3つの手法があります。

(1)OJT(On the Job Training/現場における教育、指導)
(2)Off-JT(Off the Job Training/業務外の教育)
(3)SD(Self Development/自己啓発)

事業戦略に基づいて、何を強化すべきか、という方針立案後、どの手法で行うのかを考える際に、この3手法の何れで行うのか、若しくは、その組み合わせを考えます。

 

(1)OJT(On the Job Training/現場における教育、指導)

「うちの会社はOJTをやってますから」「私たちはOJTメインの実践型です」という言葉を聞きます。
それは真のOJTでしょうか。
単なる上司から部下への指示や、場当たり的な指導・注意になっていませんか。
OJTの本来の姿は、現場・業務の中で、何を・どのような方法で・どれぐらいの期間で習得させ育てるのか、という計画に基づいた指導です。
また、それを実行する中で、常に育成状況を確認し再計画、いわゆるPDCAサイクルを回さねばいけません。そうして初めて、業務を通じた気付きや理解促進に至り、実践的な人材育成と言えます。
OJTリーダーと言われる指導する側は、それだけの「人を育む」という観点を持って、計画的に取り組んでこそ、始めて「OJTを行っている」と言えるのです。
また、会社側(人事・育成担当)は、OJTトレーナーが真のOJTを行うよう、支援・指導する必要があります。「仕事を教えてくださいね。頼みますね」では済まされません。
OJTそのものの考え方や方法論を伝えるのは勿論、OJTトレーナーが育成・指導に悩んだ際のフォロー・サポート体制も重要です。
指導を受ける当事者も、指導するOJTリーダーも、OJTという機会を有効的に成長の場とする事が良いOJT環境と言えるでしょう。

Point! OJTのメリット/デメリット

メリット
•業務直結指導ができるため、実践力を養う事ができる
•都度指導により、成長度合いに応じた計画変更ができる
•社内育成のため、外部コストが不要
•業務能力だけではなく、社風やルール、社として仕事への姿勢など、環境育成する事ができる

デメリット
•指導力はOJTリーダーによる所が大きく、差異が出やすい
•属人的指導のため、リーダーの考えや行動に大きく影響され易い
•当該業務には通じているが、それ以外の専門領域・理論性の指導は希薄になりやすい

 

(2)Off-JT(Off the Job Training/業務外の教育)

業務から切り離し、主に外部指導者による教育が、Off-JTです。

「Off-JTで外部研修に参加させたから、この能力はついた」「できるはずだ」と思われていませんか。
Off-JTだけでは、決して能力開発には至りません。
能力開発とは、inputした知識や学びを繰り返し演習・実践、PDCAを回して始めて習慣化となり、能力定着=能力開発に至ります。
あくまで「業務という日常から離れ、職場では感じられないような気付きや注意喚起、専門的な知識は手法を学ぶ場」がOff-JTとなります。
Off-JTでの気付きや学びを忘れずに、OJTの場で実践を継続する必要があり、そのためにはOJTリーダーのサポートが重要となります。
また、〇〇力を付けたいから△△研修を受けさせよう、と安易に選択する事も推奨しません。
なぜ〇〇力が必要なのか、それが不足しているのか何か、の要因分析を行った上で、問題本質を解決する研修を受講させることが重要です。
同じ研修でも多種多様のカリキュラム・講師がいて、選ばれる事も難しいでしょう。
受講者状況を鑑みながら、どの内容・どのタイプの講師がフィットするのか、見極める事も大事です。

Point! Off-JTのメリット/デメリット

メリット
•職場では学べない、専門領域・理論の習得ができる
•職場環境から離れ、新たな気付きに至り易い
•参加者同士での交流・人脈形成が可能

デメリット
•内容や講師など、研修の選択が難しい
•外部講師の費用が発生
•Off-JT内容と実務連動の企画力が必要

 

(3)SD(Self Development/自己啓発)

自ら、能力開発を行う事を指します。

よく「自己啓発セミナー」という言葉を耳にしますが、精神的な成長を目指した訓練を行う事も多々あります。
あなたは部下に「自己啓発しなさい」と、安易に言ってませんか?
子供に勉強しろ、と言ってしないのと同じです。

必要性を理解し気付き自ら取組む事、継続する事が能力開発に至るポイントです。
自己成長に関心がある方は、言わなくても自己啓発を行いますが、社員教育に於いては、取組まない社員にこそ、促す必要があります。
なぜ貴方には能力強化が必要なのか、なぜその分野を勉強すべきなのか、その先には何があるのか、成長した姿を描かせながら、自ら必要性を感じるようにサポートします。

Point! 自己啓発のメリット/デメリット

メリット
•強化範囲や計画・予算など、自分で設定できる
•セミナー参加や読書、資格取得など様々な方法を選択できる
•自分の出来る時間で行える

デメリット
•長続きしない、途中で挫折する可能性がある
•1人で取組むと、よりベストな強化範囲から外れる可能性がある(他者アドバイスが無い)

一番良いのは、状況によって組み合わせること

3つの手法について述べましたが、これらは単独ではなく、組み合わせる事がポイントとなります。

1.Off-JTで学んだことをOJTで実践
2.OJTで実践する中で、不足する事はOff-JTで学ぶ
3.並行して自己啓発を行う

大きくはこの考え方となります。
OJTをベースにしながら、適切なタイミングで適切な内容のOff-JTを行う、この設計が重要でしょう。

 

3.人材育成は組織力強化の一丁目一番地

企業にとって人材育成は重要な課題です。

それは、“ヒト”が企業のもつ資産(ヒト・モノ・カネ・情報)の中で、一番付加価値を生み出すからです。
実際、その付加価値を高めるために多くの企業は「人材育成」を実施しており、その重要性を理解しています。

しかしながら、理想と現実には大きな溝があり、上手な育成または育成環境が整っていないのが現状です。
目の前の忙しさにとらわれ、部下の教育を後回ししている職場は多いのです。
結果、そのまま放置して、ベテランと若手で知識やスキルの差が大きく開いてしまい、頭を悩ませる企業も多いのではないでしょうか。
ヒトは放っていては思ったようには成長しません。
しっかりと内容のある過程と育成環境を用意したほうが大きく伸びます。

人材の育成は当に組織力強化の一丁目一番地!

 

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