目標管理を向上させる方法

<目 次>
1.目標管理を推進する
 1-1.そもそも「目標管理」とは
 1-2.しらけた職場を活気に溢れた職場に変える
 1-3.従業員の能力を高め組織の底上げを実現できる
 1-4.管理者が本来の意味の「管理者」となる
 1-5.経営計画とおり全社一丸となって会社が動く
 1-6.成果と賃金・待遇が直結する「人事考課」を導入できる
 1-7.まとめ
2.目標管理の仕組&流れを把握する
 2-1.PDSのサイクルに沿って進めていく
 2-2.サイクル期間は1年 評価期間は半期(6ヶ月)
 2-3.重要な役割を果たす「目標管理カード」
 2-4.導入範囲は選択できる
 2-5.人事考課に連動させ賃金に反映させる
 2-6.「目標」には維持目標と達成目標の2つの顏がある
 2-7.「ノルマ管理」と混同しない
 2-8.まとめ


 

1.目標管理を推進する

1-1:そもそも「目標管理」とは

◆目標管理はマネジメントのための手法
目標管理とは、「組織目標と個人目標を統合し、各従業員に自主管理させていくことによって、組織目標を達成するマネジメントの手法」です。
もう少しかみ砕いて言い換えれば、「会社の目指すものと従業員が目指すものをうまく摺り合わせて、それぞれの従業員の自主性を重視しながら、業績向上を目指していく管理手法」ということになるでしょう。

◆「会社の目標と個人の目標は相反しない」と考える
目標管理が、それまでのマネジメント手法と決定的に異なっていたのは、会社の目指すもの(組織目標)と各従業員の目指すもの(個人目標)を相反するものだとは考えなかったことです。
目標管理以前は、この2つの目標は相反するものだという考えが一般的でした。経営陣の要求と従業員の要求は反発・敵対することもあるため、会社の目標を達成するには、従業員個人の目標を押さえつけておく必要があると考えられていたのです。
人事制度やマネジメント手法も、そのような発想に沿って整備されてきました。

目標管理では、最も大きな新要素として「参加させる」こと、そして「自己管理させる」ことを取り入れました。
それまでは、とにかく上意下達で、従業員は上司の言うとおりに働けばよい、という考え方でした。
それに対して目標管理では、極力従業員と話し合うようにし、各従業員に自分で自分を管理させることによって、従業員にも経営への参画意識を持たせたのです。
要するに、会社と各従業員が同じ目標を共有することが可能である、あるいは、会社の目標に各従業員の目標を組み込むことが可能である、と考えたのです。
これが、目標管理の最も大きな特徴です。

 

1-2 しらけた職場を活気に溢れた職場に変える

目標管理の手法を導入すると、中小企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。
導入後にうまく機能した場合、目標管理は主に次の5つの効果を会社組織にもたらします。これは、大企業でも中小企業でも基本的には変わりません。

1.意欲(=やる気)の向上
2.能力の開発
3.マネジメントサイクルの実践化
4.経営計画の行動化
5.納得性の高い成果型の人事考課の実現

 

1-3 従業員の能力を高め 組織の底上げを実現できる

◆能力の開発
マズローやハーズバーグの説を持ち出すまでもなく、人間は元来、「目標を持つことによって精力的に行動し、達成することによって満足感を得る」という行動特長を持っています。
目標管理では、誰もが持っているこの行動特長を活用し、「本人の能力よりやや高い目標を設定し挑戦させる」ことによって、従業員の意欲のみならず、能力の向上(=スキルアップ)も図ります。

◆計画的に人材を育成できる
目標管理の手法でスキルアップを指導していくと、通常の仕事のなかでその都度教育していくより、着実、かつ計画的にスキルアップさせていけます。

 

1-4 管理者が 本来の意味の「管理者」となる

管理者の本来の役割は、「任された部下を活用して、与えられた目標を達成する」ことです。
しかし、中小企業での実態はどうでしょうか。

・部下に仕事を任せられずに自分で抱え込んでしまう管理者
・経営者のメッセンジャーにすぎない管理者
・部下の意欲や能力を伸ばすことができない管理者

上記のように、管理者としての本来の役割を果たしていない人のほうが多いのではないでしょうか。
管理者が、本来の意味での「管理者」になりきれていないのです。
目標管理には、こうした「管理者が頼りない」「管理者が忙しすぎてマネジメントの仕事ができない」「管理者が管理の仕事をやる気がない」といった経営者の悩みを、まとめて解決できる可能性があります。

目標管理のマネジメントでは、次のような行動パターンが「仕組み化」されています。

1.期首に、各従業員に組織目標に沿った個人目標を設定させる (Plan)
 ↓
2.達成方法・達成水準を明確にする(Plan)
 ↓
3.それを上司が面接して確認・調整する(Plan)
 ↓
4.随時、面接を行って進捗管理を行う(Do)
 ↓
5.期末に達成状況を評価する(See)

 

 

1-5 経営計画とおり 全社一丸となって会社が動く

◆経営計画は「絵に描いた餅」になりがち
最近では中小企業と言えども、中期や年度での経営計画をキチンと作成しているところが多くなっています。
銀行からの要請などもあって、中期計画とまではいかなくとも、単年度の経営計画を示して経営を行うことが中小企業にも必須となってきているのです。
経営計画を立てることで、会社全体の事業の方向性を示し、各部門・部署・従業員個人にまで経営陣の目指している方向を示すことができます。
ですから、業務の活性化のために、銀行に要請されるまでもなく自発的に導入している会社も多いでしょう。

しかし、年度や中期での「経営計画書」は作成していても、その経営計画が末端にまでキチンと落とし込まれているかどうかとなると、疑問符がつく会社が多いのではないでしょうか。
実態を見てみれば、経営陣が決めた経営計画は「絵に描いた餅」にすぎず、個々の従業員の日常行動とは連動していない、という中小企業が多いのではないでしょうか。
末端の従業員は経営計画があることすら知らない、ということも珍しくありません。
しかし、それぞれの部門や各従業員がバラバラの方向を向いていては、会社という組織の「チームプレー」の強みが活かせません。「全社一丸となって前に出る」姿勢が必要とされる現在の厳しい競争環境を乗り切るには、これではいけません。

 

1-6 成果と賃金・待遇が直結する「人事考課」を導入できる

◆納得性の高い成果型の人事考課を実現
目標管理は、期首に組織目標に合わせて各従業員に目標を設定させ、達成過程での管理も自分で行わせ、さらには達成後の評価までも自分で行わせるという、従業員の自主性をどこまでも重んじたマネジメント手法です。
しかし、すべてを従業員の自主性に任せているわけではありません。
詳しくは後述しますが、期首に設定する目標は、上司との話し合いのプロセスを経ることによって、それぞれの従業員が担当する仕事のなかでも特に重要な分野や業務に対してのみ設定されるように調整されます。
また、目標を設定する際には、どこまで達成できればよしとするか(「達成水準」と呼ぶ)、あるいはいつまでに達成すればよいのかなど、評価の際の基準や期間についてまで話し合って決めていきます。

目標管理のこの手法は、人事考課の際、各従業員の業績評定を行うのに非常に役立ちます。
業績評定とは、「担当した仕事のやり方、およびその結果を評価する」ものです。
目標管理では、期首の段階で主要な業務における課題・達成水準・期間などを、管理者と従業員がお互いに話し合って決めているので、結果をそのまま業績評定として利用することが可能なのです。

◆自分で決めているから、反発が起きにくい
「従業員からの反発が少ない、成果型の人事・賃金制度はないか?」というのは、中小企業にコンサルに伺うとよく聞かれる質問の1つです。
成果反映型の評価体系の導入は、多くの中小企業にとって急務なのですが、評価体系の変更というのはとかく問題になりやすいものです。賃金への過剰な業績反映を性急に導入すると、労務トラブルを招くことさえあります。
しかし、目標管理を導入すれば、経営者は労務トラブルの起きにくい、使い勝手のよい成果型の人事考課を実現できます。
すでに述べたように、目標の設定の段階で何をどのように評価すればよいのかまで決まっていますから、評価の際にはそれに沿って評価すればよいだけなのです。
しかも、目標管理で設定する「目標」は、上司が一方的に与えるものではありません。
上司の助言や監督を受けながらも、基本的には従業員が自分で設定したものです。また、その目標の達成水準も、上司と相談しながら従業員自身が決めたものです。
そのため、目標管理の仕組みを取り入れた成果型の人事考課には、従業員からの反発が起きにくいという性質があります。なにしろ、自分で評価の基準まで決めさせていますから、上司も部下も納得した人事考課ができるメリットがあるのです。
公正で反発の少ない、成果型の人事考課がないかと悩んでいる中小企業は、目標管理を導入することで問題を解決できるでしょう。

 

1-7 まとめ

◆目標管理とは、経営学者のドラッカーによって考案された、マネジメントのための手法である。
◆「目標管理」も「MBO」も「目標による管理」も、呼び名が違うだけで同じものを指している。
◆目標管理の最大の特徴は、
①組織目標と個人目標の統合を図ること、
②従業員の自主性を重視して自己管理を旨とすること、
の2つである。
◆目標管理を導入すると、従業員のやる気を引き出して、活気ある職場を作ることができる。
◆目標管理を導入すると、従業員のスキルアップを計画的に進めることができる。
◆目標管理を導入すると、管理者が「管理」(=マネジメント)の仕事に専念できるようになる。
◆目標管理を導入すると、「経営計画の行動化」を実現でき、全社一丸の体勢を作れるようになる。
◆目標管理を導入すると、上司も部下も納得できる成果対応型の人事考課を実現できる。

 


2.目標管理の仕組&流れを把握する

2-1:PDSのサイクルに沿って進めていく

目標管理は仕事の管理サイクルとしてよく使われる「PDSマネジメントサイクル」に沿って進めていきます。
計画(Plan)・実施(Do)・評価(See)のそれぞれのステップで・部下と管理者が面接を行い、話し合いながら進めていくのが大きな特徴です。
それぞれのステップの具体的な内容については詳しく後述していきますが、まずは大きな役割分担について簡単に説明していきましょう。

【PDSマネジメントサイクルと目標管理の各段階】

 

2-2:サイクル期間は1年 評価期間は半期(6ヶ月)

◆1年サイクルのなかで2回評価するのが一般的
「目標設定→進捗管理→達成度評価」という目標管理のサイクルは、基本的には1年間を基準に考えます。
目標管理は経営計画(=事業計画)と連動するように運用すべきですから、事業年度と同じ1年間になるのです。
しかし、日々の業務をマネジメントしていく手法としては、1年間では少し長すぎる、という社長さんも多いでしょう。
確かに、目標設定から評価までに1年も間があると、仕事をする側も評価をする側も、「まだ1年ある」「まだ半年ある」という感じで、設定した目標と日常の仕事にズレが生じてきます。
進捗管理をしっかりしていない会社だと、期末になったら期首に設定した目標がなんだったのかすら忘れている、といった状態になりかねません。

また、人事考課に活用する場合、現実的な問題として、例えば3月決算の会社では、目標管理の達成度評価を冬の賞与にどうやって反映させればよいか、という問題があります。
夏の賞与は、1年サイクルの期末の達成度評価に合わせればよいのですが、冬の賞与は期中にあるわけですから、その時期に合わせた評価が必要になってきます(各社でさまざまな給与体系があると思いますが、ここでは1年に2回、夏と冬に賞与を支給するという一般的な例で話を進めます)。
冬の賞与には目標管理の結果を反映させない、という方法もありますが、どうせならどちらの賞与にも目標管理の評価結果を反映させたいものです。

とすると、当然年に2回は達成度の評価をする必要があります。
目標管理を導入し、人事考課にも反映させている企業では、多くの場合、大きな1年のサイクルのなかで、評価を2回(6ヶ月経過時と期末)行う方法をとっているようです。
逆に人事考課に反映させない場合は、1年サイクル、期末の1回評価の場合が多いようです。

◆賞与の少し前に評価時期が来るよう期間設定する
賞与は一般的には6月、12月の2回になりますので、その少し前、それぞれ10月、4月に達成度評価を行えるように、それに合わせて目標を設定し、期日の設定を行います。
もちろん、各社で会計年度の開始月が異なったり、賞与の支給月や支給回数が異なることもあるでしょう。そうした場合は、各社の事情に合わせてサイクル期間や評価の回数を変えてもかまいません。

目標管理は、所詮は各企業内での決まりごとにすぎませんから、細部については各社で決めればよいのです。
ときどき、目標管理のやり方を厳格にとらえすぎて、会社の実態に合わない方法を強行している経営者の方がいらっしゃいますが、そのあたりは柔軟に、臨機応変に考えてください。

 

2-3:重要な役割を果たす「目標管理カード」

◆メインツールとして使用し、流れを管理する
目標管理の大きな流れは、ここまでの説明でおわかり頂けたと思います。
目標管理では、こうした流れを、各従業員ごとに作成する目標管理カードという書類を使って管理していきます。
この書類については、「目標管理シート」と呼んだり「ミッションシート」と呼んだり、会社によっていろいろなケースがありますが、中身は同じものです。
書式が厳密に決まっているわけではないのですが、少なくとも以下の図のような要素が盛り込まれるのが普通です。
例を参考に、それぞれの要素について簡単に解説していきます。

【ごく単純な目標管理カードの例】

 

2-4:導入範囲は選択できる

目標管理は、通常は人事考課にも直結していますから、会社で働く人にとっては導入前後で大きく環境が変わることになります。
そのため、職場の人事・賃金制度が急激に変化することを避けたい場合などには、導入範囲を限定したり、段階的に取り入れていくこともできます。

◆定石は上から下に拡げていく方法
例えば、多くの企業では、管理職と一般従業員を分けて、まずは管理職だけに目標管理を導入する方法をとっています。
管理職のなかでも、最初は経営陣と部長クラスまでの導入にし、課長クラス、係長クラスへと順次適用範囲を降ろしていって、最後に一般従業員にまで導入範囲を拡大する、という段階的な方法を選択するケースもあります。
このように、会社の上層部から順に導入範囲を降ろしていく方法には、部下の面接を行う立場になる管理者を、順々に目標管理の手法や考え方に慣らし、教育していくことができるというメリットがあります。そのため、新たに目標管理を導入する会社にとっては、「定石」とも言える手法となっています。
一般従業員にまで目標管理を導入する頃には、彼らの面接を行う管理者は目標管理の実践方法をひととおり理解しているので、全社員への拡大にあたって、大きな混乱を招かないようにできるのです。

◆目標管理になじみにくい職種もある
職種によって目標管理を導入する範囲を決めている会社もあります。
例えば製造部門では、課や係のレベルまでは目標を容易に設定できますが、実際の製造現場を担当している従業員は、単純な繰り返し作業に従事していることも多いので、各従業員のレベルでは目標を設定しにくいことがあります。
また、定型の事務作業を行う事務員や、まだ研修期間中の新人社員、あるいは嘱託など特殊な雇用形態にある従業員、非正規雇用の従業員なども、目標管理のシステムに組み込みにくい存在です。
このように、目標管理のマネジメント手法を適用するのが困難であると予想される場合には、全社への目標管理導入にこだわらず、選択的に導入することも可能です。

 

2-5:人事考課に連動させ 賃金に反映させる

◆賃金に反映させなければ実効性は薄くなる
目標管理では、期末の達成度評価を人事考課に連動させ、具体的な賃金や賞与の差として反映させることが基本です。目標管理による人事考課、そして、それに連動した賃金制度には、主に次のようなメリットがあります。

・従業員の能力向上や、意欲の向上を賃金に反映させられる
・従業員が賃金制度に対して納得できる
・仕事の成果を賃金に反映させられる(成果型の賃金制度を実現できる)
・管理職のレベルを高められる
・人事制度を社内に公開することができる

どこまで反映させるか、また、どのような形式で反映させるかは各社の事情によりますので、決まった形はありません。しかし、賃金制度に連動させるという点は、目標管理を実効性あるものにするための重要なポイントになりますから、可能な限り反映させるようにしたいものです。
目標管理をすでに導入している企業でも、ほとんどの企業は人事制度や賃金制度との関連づけを行っています。
もちろん、事情によっては人事考課に連動しないようにもできますが、その場合はどうしても真剣さが薄れ・本格的な導入前の試験的施行のように見られやすいことを覚えておいてください。

◆バランスのとれた成果型の人事・賃金制度にできる
前述したように、目標管理の達成度評価を人事考課に反映させることで、成果型の人事・賃金制度を導入できます。しかも、評価方法を工夫することで、結果だけでなくそこに至る過程についての評価も、人事考課に反映させることが可能です。
成果型の人事・賃金制度は、ときに成果を得るための過程(地道な努力やスキルアップなど)を軽視する会社の体質を招くことがありますが、目標管理の手法なら、工夫次第でそうした問題を防ぐことができるのです。
一例を挙げれば、期首に目標を設定する際、通常の目標と自己啓発的な目標をあらかじめ分けておき、通常の目標の達成度評価は賞与に直接反映させ、自己啓発的な目標の達成度評価については昇給時の判断材料とする、などの方法があるでしょう。

【成果と過程をバランスよく評価するための一例】

 

2-6:「目標」には 維持目標と達成目標の2つの顏がある
次は、目標管理の「目標」について少し詳しく見ておきましょう。
すでに何度か述べましたが、目標管理での「目標」は、経営者の作成する経営計画を、末端の各従業員にまで落とし込んだものです。
しかし同時に、各従業員が設定する「目標」は、管理者の監督を受けながらも、それぞれの従業員が自主的に提出するものでもあります。
とすると、会社の「組織目標」と従業員の「個人目標」を、どうやってうまく摺り合わせ、統合・共有していくか、という問題が出てきます。

「自主管理」を旨とする目標管理本来の考え方からすれば、自主的に提出された目標を「各従業員」→「係」→「課」→「部門」→「会社全体」と積み上げていく完全なボトムアップ方式が理想なのでしょうが、現実の会社運営では上意下達も必要です。そもそも、会社は利益を上げ続け、成長し続けなければ存続できませんから、会社を維持するのに必要な金額や数字は明確に存在しています。
このように、会社として必ず達成しなければならない目標のことを、目標管理では組織目標とは区別して、「維持目標」と呼びます。会社全体を術轍することができない従業員にすべてを自主管理させてしまっては、この維持目標にすら達しないことがあるのは容易に想像できます。ですから、いかに目標管理が従業員の自主性を重視するとは言っても、その自主性には、当然「維持目標が達成される範囲内において」という制限がつくわけです。
そこで、目標管理での目標には「維持目標」と「達成目標」の2つがあり、維持目標は上からブレイクダウン(=割り振り・落とし込み)される目標、達成目標は下からボトムアップしていく目標という位置づけをし、うまく摺り合わせながら目標を決めていく、という考え方をとります。

【維持目標と達成目標】

◆上から「ブレイクダウン」と「ボトムアップ」で決めていく
目標設定の手順を、順を追って説明しましょう。
まず経営トップは、経営計画をもとにして、各部門長へ部門ごとの維持目標をブレイクダウンします。
各部門長は、このブレイクダウンされた目標をもとにして、それぞれの部門の目標を達成目標として設定します。
そして、部門長が設定した目標が維持目標と合致しているか、トップと話し合いを行い、決定された目標が部門長の達成目標となります。
次に部門長が、設定された部門目標をもとに、各課長に対して維持目標をブレイクダウンします。
各課長はこのブレイクダウンされた維持目標をもとに、課の目標を達成目標として設定します。
そして、課長が設定した目標が維持目標と合致しているか、部門長と話し合いを行い、決定された目標が課長の達成目標となります。
このように、目標は上からのブレイクダウンと下からのボトムアップを繰り返しながら、順番に降ろして決定していきます。
いくつも「目標」が出てきて混乱するかもしれませんが、この「達成目標」と「維持目標」は、対になるものだと覚えてください。

【連鎖する目標】

◆目標管理の目標は「連鎖」している
このようなステップを踏むため、目標管理の「目標」は、上の図12のように連鎖したものになります。
また、全体を俯瞰すると、下の図のように階層構造を持ち、それぞれの階層の目標が、上位の目標と下位の目標のどちらにも関連性を持つようになるのです。
逆に言えば、目標を設定していくときには、こうした連鎖する階層構造を作るように、個々の目標を設定していく必要があるのです。

【目標は全体像の階層構造になる】

 

2-7:「ノルマ管理」と混同しない

◆目標管理は「自主管理」、ノルマ管理は「上司管理」
「目標管理はノルマ管理とどこが違うのか?『目標を設定して仕事をする』のだから・同じことではないか」と疑問を抱く経営者や管理者の方が多いようです。
しかし、この2つはまったく異なるマネジメントの手法ですから、混同しないように注意が必要です。

すでにおわかりのように、目標管理の特徴は「自発的な目標の設定」と「自主管理」です。従業員から見れば、参加型・能動的なマネジメント手法です。
一方のノルマ管理では、上司が一方的に目標数値を与え、その数値を達成するための進捗管理や最終的な評価まで、すべて上司が行います。従業員から見れば、どこまでも受動的なマネジメント手法です。
つまり、目標管理は「自主管理」、ノルマ管理は「上司管理」の違いだと言えるでしょう。

目標管理とノルマ管理の違いを一覧表にすると、次の図のようになります。
考え方やアプローチがまったく違いますから、これから目標管理を導入しようと考えている経営者や管理者の方は、2つの手法の違いについてしっかり理解しておく必要があります。
なぜなら、目標管理を導入しようとする際、最も多い失敗原因は、社長や管理者が目標管理とノルマ管理とを混同してしまい、目標を部下に押しつけてしまうことだからです。

【目標管理とノルマ管理の違い】

 

2-8:まとめ

◆目標管理は、PLAN(計画)→DO(実施)→SEE(評価)の「PDSマネジメントサイクル」に沿って進められる。
◆サイクル期間は1年、評価期間は半年に設定し、年に2回評価を行うのが一般的。
◆目標管理になじみにくい職種もあるため、導入範囲は各社で選択することができる。
◆目標管理なら、いきすぎた成果主義を排除しながら、成果反映型の要素を取り入れたバランスのよい人事・賃金制度を構築できる。
◆目標管理で設定する「目標」には、会社として存続するために達成しなければならない「維持目標」と、維持目標を達成するために設定する「達成目標」の2つがある。
◆目標管理の「目標」は、組織全体で見ると階層構造を持ち、それぞれの階層の目標が連鎖している。
◆目標管理の手法は、ノルマ管理の手法とはまったく異なるため、両者を混同しないように注意しなければならない。混同してしまうと、従業員のやる気を削ぐなどの問題が起きやすい

 

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