人事評価制度に必要な付加価値に関する考え方

人事評価制度は、「論理と情」のバランスをどのようにとっていくかというのが重要だと考えています。

論理の世界はルールの世界です。あくまでも私見ですが、ルールがなければ、人は自我を肥大化させていきます。人は社会的動物であることは事実だと思いますので、動物的な社会性の中でもルールは存在していたと思います。チームとして動くために自我を抑制する暗黙のルールです。

論理の世界はただのルールです。「わかっちゃいるけど、やめられない。」という情の世界とのバランスをどのようにとっていくのか、が組織運営の重要なポイントだと思っています。

「個人を尊重した多様性のある働き方を提供することが、これからの会社のあり方である」まったくその通りだと思いますし、そうありたいと思います。
しかし、現実として、個人=情の世界の多様性は、個人と個人の葛藤を生みます。組織がいくら多様性が重要だと考えていても、多様性における個人間の葛藤はなくなりません。もっといえば、多様性を追求するほど、個人=情の世界における溝は深くなっていきます。

だからといって、経営者・実業家は、その「論理と情」の矛盾があることを知っていながら、「ああ、そうですか」といって、ただただ愚痴をいっているだけでは済まされません。従業員はもらえればいいですが、経営者・実業家は与えなければならないからです。

与えるためには、組織としての付加価値を上げなければいけません。結局「論理」の帰結は、付加価値を上げること。付加価値にコミットするよう、情をコントロールすることが、人事評価制度の成功の秘訣であると思います。

<目次>

1.付加価値コミットの重要性
2.人事評価制度における評価者の役割
3.人事評価を伝えることの重要性
4.まとめ

 

1.付加価値コミットの重要性

人事評価制度の構築を支援してきて、つくづく思うことがあります。結局、「働くということは付加価値にコミットすること」だと。付加価値は、「誰かの痛みを解消すること」で生まれると思います。(快楽の追求も、結局痛みの解消だと思っています。)農業は、種子から土地やその他の設備を使って作物という付加価値を生み、製造業は、資材を仕入れて加工して付加価値を生み、卸売・運送業は様々な商品を集めて流通させることで付加価値を生み、小売業は商品の価値を顧客に伝えることで付加価値を生み、サービス業は人・情報の提供で付加価値を生みます。

誰かの痛みを解消できない組織は、いずれ淘汰されるということでしょうか。

付加価値は、本来目に見えないものだと思います。ゴミを拾うことも誰かの痛みを解消しているので、付加価値です。ですが、民間企業であれば、付加価値はお金に換算されます。

組織は人の集まりです。組織が付加価値を上げなければなりたたない以上、組織を構成している人も付加価値を生まなければ組織にいられません。組織が付加価値を生まなければ淘汰されるのと同様に、人の付加価値を消化するだけの人は、いずれ組織から淘汰されるからです。

様々な理念やビジョン、行動指針等はありますが、民間企業である以上付加価値という概念は外せないと思います。

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2.人事評価制度における評価者の役割

付加価値がなければ組織は成り立ちえないし、付加価値に貢献しなければ組織から淘汰される。

この事実を前提として、人事評価制度を考えた場合、評価者の重要な役割は、「自分の部下に付加価値へのコミットを促すこと」だと思います。付加価値にコミットするためには、まずは付加価値の意味を伝えていなかければなりません。そして、付加価値を向上させるための方法論について話し合いによって、合意し、行動にむすびつけていく。

この「付加価値へのコミットさせること」が根本的な評価者の役割だと思います。

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3.人事評価を伝えることの重要性

人事評価を伝えることは、人事用語でいえばフィードバックといいます。
大体の人事関係の本には、フィードバックの重要性が説明されていますし、「やらなくていい」という本に出合ったことはありません。

フィードバックの方法論については、多様な方法がありますが、ただ一点いえることは、評価のフィードバックは、ただ評価を伝えるだけでなく、フィードバックの意味が重要だと思います。

「フィードバックは効かないと意味がない。」

効く・効かないの分かれ目は、行動の変容があったかどうかです。
「フィードバックをしました」→「何も変わりませんでした」では、やっている意味がありません。

人の行動を変容させるには、意味が必要だと思っています。

「やらされている」と考えると人のやる気は減退します。一方、意味にコミットし、行動の意義を理解したときに、人の行動は変わります。

その意味は、「付加価値」だと思います。

自分が組織の付加価値に貢献することは、敷いては社会全体の付加価値に貢献することにつながることを、上司と部下が合意していることが重要だと思います。

共通の目的があるかないかが、具体的な行動に対する指摘が受け入れられるか受け入れられないかの分かれ道になると思います。

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4.まとめ

この文章の書き始めは、フィードバック面談の方法論について書いてみたいと思っていたのですが、途中で方向転換してしまいました。

フィードバックは、論理の世界とは違い、情がからむのでより難しい。

その情に対応するためには、テクニックも重要ですが、意味が重要だと思います。
よって、フィードバックの方法論はいずれ記載させていただければと思います。

最後までご覧いただき有難うございました。

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