「職群」と聞いて、「ああ~そのことね。」と思われる方は、人事部門に在籍されていたりして人事制度をよく知っている人かと思います。
そもそも大企業は別にして、中小企業の場合、人事制度はあったとしても職群設定をしていない企業も多い。
そのため、あまり職群と聞いてもピンとこない人が多いと思います。
職群というのは、「職種をある一定の基準でまとめた」ものを言います。
少し古いですが、総合職とか一般職というのも職群です。
なぜ職群設定をするのかといえば、例えば職種が多くある介護職を例にとって考えてみると分かりやすいです。
介護サービスの職種は数が多い。
〇介護職 〇看護職 〇生活相談員 〇機能訓練員 〇栄養士 〇調理員 〇事務員 〇施設整備等雑務
さらに介護職は施設介護、訪問介護、デイサービス、グループホーム等に分けることができます。
当然のようにこれらの職種は、仕事内容が異なります。仕事内容が異なるということは、貢献度もかわる。よって、理屈でいえば処遇(賃金や賞与)が変わってきます。
理屈でいえば処遇をわけるのがベストですが、実際には大変な作業になります。
上記の例でいえば、11種類の処遇制度を作らなければならなくなります。中小企業の場合これは現実的には無理です。
(規模の大きな企業であれば、職種ごとの人数が多いため、職種毎の賃金設定はありだと思いますが、それでも日本ではあまり例がないと思います。)
そういうわけで、数多くある職種をある一定の基準でまとめたものが「職群」です。
しかし、この「一定の基準」といのが曲者です。どのような基準で職種をまとめればいいのか?
今回のテーマは、「職群」とその基準についてお話してみたいと思います。
<目 次>
1.従来型の職群
2.職群は、その仕事を通じて何の付加価値を生むのかで設定する
3.コミット型職群設定の効果
4.まとめ
1.従来型の職群
職群設定で、誰でも一度は聞いたことがあるのが、「総合職・一般職」というものです。
この総合職と一般職の違いの定義なのですが、あまり明確とはいえないというのが事実です。しいていえば、総合職は、「会社の中核を担う職群」で、一般職は「総合職をサポートする職群」ということになるでしょう。
ただ、この総合職と一般職をよくよく調べてみると、この職群が生まれた背景には、男女雇用機会均等法があったようです。その背景の理屈はこういうことでしょうか。
もともと男性社員より女性社員の賃金が低かった
↓
男女雇用機会均等法により性別による賃金差が問題となった
↓
男性社員は基幹職種が多く、女性社員は間接職種が多かった
↓
よって、苦肉の策として「会社の中核を担う職群」としての総合職と、「総合職をサポートする職群」としての一般職を分けて、賃金差のエビデンスを作った。こう考えてみると、強引な策のような気もします。現在は、当時とは違い女性就業率も上がってきています。時代が変わってきているので、そろそろ別の定義付けが必要なのではないかと思います。
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2.職群は、その仕事を通じて何の付加価値を生むのかで設定する
職群設定は、結果として処遇差に行きつきます。
処遇差の前提を、「総合職」と「一般職」とするのは、どうも時代に合っていないような気がします。
それでは、何で処遇差をつけるのか。企業の原点に戻ればいいのではないでしょうか。
確かに、会社の存在意義は、色々な考え方がありますが、「会社は付加価値を生むために存在する」というのも一理あるように思います。企業活動は、その活動によって付加価値を付けて、販売する。その付加価値が世の中に貢献すると考えた場合、この付加価値にどう貢献するのかという基準で職群を定義してもいいように思います。
職群を、企業の付加価値向上にどう貢献するのかという基準で分けるとどうなるか。
色々な考え方があるかと思いますが、共栄経営センターが今まで提案し、成功してきた職群設定基準の考え方をご提示いたします。
結局、「あなたの仕事は何コミットしているのですか」という質問に答えることです。
そうすると、どのような企業でも3つに行きつくのはないかと思います。
「売上・利益」「品質」「コスト」です。
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3.コミット型職群設定の効果
「売上・利益」「品質」「コスト」の3職群による設定はシンプルです。
「売上・利益」の代表的な職種は、もちろん営業ですが、マーケティング部門なども入ってくると思います。
「品質」職群は、売上・利益をコントロールすることはできないが、営業などが獲得した商品・サービスを顧客の要求品質に沿って提供する職種になります。
「コスト」職群は、コストのかかる職種ということではなく、コスト削減などに貢献する職種ということで、主には間接部門ということになります。
この職群定義を「コミット型職群設定」といいます。*共栄経営センターの定義です。
このコミット型職群設定にはいくつかの効果があります。
まず第一に、「貢献度に応じた処遇差をつけることができる」です。
売上・品質・コストは企業活動そのものといいてもいいと思います。ただ、企業活動をこの3つに分けた場合、貢献度は違います。この貢献度に応じて、処遇差をつけることが可能になります。
一般的には、売上・利益職群>品質職群>コスト職群 というのが多いと思いますが、本考え方は、企業に応じて違います。また、職群間の重みも違ってきますが、貢献度差をつけることができるというのは大きな効果となります。
第二に、「評価差を処遇で調整することができる」です。
評価を定量評価(数値による評価)と定性評価(テキストによる評価)に分けた場合、一般的に、定量評価より定性評価の方が高くなる評価傾向があります。
この評価差が問題になります。営業は厳しめの評価となり、事務は甘めというような感じです。もし、これを一つの処遇システムで流してしまうと、年数がたてば営業より事務の方の給与が高くなるということが起こりえます。
そうならないために、売上・利益職群≒定量評価、品質職群蝉≒定性評価、コスト職群≒定性評価となっても、本傾向があることを前提として処遇差をつけることができます。
第三に、「業績との連動性が図りやすい」
共栄経営センターがお勧める賃金制度「絶対額ピッチと率分配による賃金制度」と連動させると、より職群の貢献度と業績との連動性を図ることができます。
*「絶対額ピッチと率分配による賃金制度」はこちらの記事を参考にしてください。
ようは、職群別の昇給予算・賞与予算を策定し、その予算に応じて職群内等級と評価で各人へ分配していくという考え方です。
こうすることで、業績との連動性が実現でき、経営と人件費のパランスをとることができます。
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4.まとめ
「中小企業に職群設定なんて・・・。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、導入してみると使い勝手がいいという評価をいただく場合が多いです。
たしかに、設計するときには少し苦労がありますが、一旦システム化してしまうと、楽に運用できると思います。
職群設定をご検討してみてはいかがでしょうか。
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